歯の隙間を作る「IPR」
矯正治療では、ワイヤー矯正、マウスピース型矯正どちらの場合でも、歯と歯の間を削る「IPR」と呼ばれる治療を行うことがあります。正式には「 InterProximal (隣接間の)Reduction(削減)」 の略で、別名として stripping, disking, slicing とも呼ばれています。
これはすなわち、歯の表面をわずかに削り、歯と歯の間に隙間をつくる行為のことで、歯を削る際には、歯科用のバーを用いて機械で削るほか、手動のやすりや、やすり紙のようなものを使うこともあります。
IPRの目的は、主に、
①歯が並ぶためのスペース(隙間)を作ること
②歯の形を整え、上下のかみ合わせをより良くすること
➂歯と歯の間の歯肉(歯間乳頭)の形をよくすること
にあります。
IPRを行うことで、歯の大きさ(歯冠幅径)が小さくなり、不足していたスペースが確保され、歯の配列を整えることができます。また、上下顎の歯の大きさのバランスが悪い場合には、歯の大きさが調整され、上下の調和のとれたかみ合わせを作ることができます。さらにIPRによって隣接面の形成が行われると、歯と歯の間の隙間が小さくなり、歯間乳頭と呼ばれる歯肉の形態が改善し、ブラックトライアングルと呼ばれる隙間ができにくくなるといったメリットがあります。
もちろん、IPRは歯の表面のエナメル質で行いますので、歯の健康に影響はありません。
ただし、適切な治療を行うためには、IPRを行う部位や、IPRを行う量を正しく選択する必要があります。当院では、矯正歯科の専門医による治療を行っておりますので、歯並びについて気になる方はいつでもご相談下さい。